今、世界中のほとんどの人が何かの困難を抱えて生きています。しかし困難があるからその人が不幸であるとは限りません。この世で多くの困難を抱えつつも、前向きな気持ちで生きている方もいます。おそらくそれは、同じく困難を抱えて生きる隣人との共感の中で生きているからではないかと思います。人の幸せとは、共感し合える隣人との出会いです。
聖書にあるタラントンの譬えは、主人から託された多くのお金を有効に用いた人が褒められます。従来そのお金は「神さまから託された賜物・能力」と理解されていますが、しかし実は、その賜物とはその人が抱える困難のことではないでしょうか?
多くの困難を神さまから託された人は、その困難の分だけ隣人の困難に共感できます。その共感の思いを神さまは喜ばれます。隣人に気持ちを向けないで自分の身を守ることばかり考えた人は神さまから叱られてしまいます。わたしたちには神さまから託された困難の分だけ、隣人と共感し合う可能性を与えられています。それは幸せの可能性なのです。

(牧師 斎藤成二)