主の御名を賛美します。
災害が起こると、わたしたちはその規模の大きさに関心が集中します。それはいつも死者や建物被害の数で表されます。その数が大きければ恐れ、小さければ関心も低くなります。しかし災害の渦中にいる人は、数の大小にかかわらず、それぞれの危機に直面しています。全体の数は決してその人の現実を表していません。
新型コロナウィルスの感染者数が莫大な数に上っています。もちろん、それによって状況が深刻であることは分かります。けれども、感染した一人一人の深刻さは伝わってきません。全体状況を把握することは大切ですが、その中にいる一人一人にも思いと祈りを届けることの大切さを、あらためて覚えたいと思います。
良い羊飼いであるイエスさまは99匹を野原に残して見失った1匹を探されます。でもそれはもしかしたら、群れを放置するということではなく、大きな数の中に埋もれてしまった、一人一人の小さな現実を見いだしていく、ということかもしれません。大きな状況の中にあって、人々の思いが届かなくなっている一人を訪ね求めて、イエスさまは今日も歩んでおられるのでしょう。

(牧師 斎藤成二)