主の御名を賛美します。
ルカ福音書によれば、最後の晩餐の時に裏切り者の存在を知らされた弟子たちが、裏切り者捜しのついでに「自分たちのうちで誰が一番偉いのか?」と言い争いを始めました。おそらくこの場面が初めてではなく、これまでも幾度かそういうケンカをしながら、弟子たちはイエスさまと歩んできたのでしょう。
自分が一番偉いと自信満々の弟子たちでしたが、イエスさまが逮捕されるとわれ先にと逃げ出しました。情けないことですが、それが現実です。わたしたち人間の自信など、現実的な危機の中では何の役にも立ちません。それまで自信満々だった者ほど、大きな挫折を味わうことになります。しかしその大きな挫折は、より大きなゆるしの体験へとつながることを聖書は証しします。
香油をイエスさまに注いだ女性の物語では「この人が多くの罪を赦されたことは、私に示した愛の大きさで分かる」と言われます。大切なのは「どれだけゆるされて生きてきたか」を覚えることにあります。ゲツセマネではイエスさまを見捨てた弟子たちでしたが、それをゆるされた神さまの大きな愛によって、新しい息吹の中で、神さまに仕える生涯を歩み始めます。(斎藤成二)